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常に患者さんファーストの医療を。

ふるえに悩む一人でも多くの人の力になりたい

年間200件近くの機能神経外科手術を担当。
最先端の現場で「ふるえ治療」の可能性を徹底追及

神奈川県藤沢市にある湘南藤沢徳洲会病院は、高度な専門医療で知られる総合病院。 患者さんに安心・安全な医療を提供するだけでなく、ホームページやSNSなどを通じたわかりやすい情報発信にも定評があります。

同院の機能神経外科では、パーキンソン病や脳神経疾患に伴うふるえの症状に特化したセンターを設け、専門治療を行っています。 機能的神経疾患センターのセンター長であり、情熱大陸への出演でも知られる山本先生に、治療に対する意気込みと今後の展望を伺いました。

山本一徹

湘南藤沢徳洲会病院 機能神経外科
機能的神経疾患センター センター長

山本一徹

資格

  • 日本定位・機能神経外科学会技術認定医
  • 日本脳神経外科学会専門医・指導医
  • 日本脊髄外科学会認定医
  • 日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科専門医
  • Q集束超音波治療(FUS)は世界的にも注目されている治療法なんですか?

  • A はい、国際学会などでもFUSについての独立したセッションが設けられているなど、注目度は高いです。 メスを使わない低侵襲手術なので受ける患者さんとしてもハードルが下がりますし、革新的な治療だと思います。 私のところに来られる患者さんも、ご自身で結構調べられた上で「FUS治療を目的にして来ました」という方が増えています。

    自分でお探しになる方に加えて、口コミも非常に増えています。 私のところで実際にふるえの治療を受けて治った方やそのご友人、ご親戚、またはその方の主治医の先生などに聞いて来られるという場合もあります。


  • Qふるえの治療がそれだけ広まっているということでしょうか?

  • A 広まってきていることは間違いありませんが、実際に手のふるえなどの症状があったが、「この治療のことは知らなかった」という患者さんもまだ非常に多くいらっしゃいます。 長い方ですと数十年間ずっとふるえている、ということも珍しくありません。 これまで病院にかかっていても診断がつかなかったり、薬で治療して効かなかったのでそれ以上の治療を受けられずそのままになっていたり、という状況なんです。

    やはり、診療している医師の方々にも、ふるえの症状と治療法についてもっと知っていただきたいですね。 たとえば、他病院の主治医の先生が患者さんから「FUS治療を受けたいから紹介状を書いてください」と頼まれたとします。 でも、その先生からしてみたら「FUS治療のことをあまり知らないので、紹介することに自分で責任を持てない」と思われるかもしれません。

    患者さんはこの症状をどうしても治したい、という強い思いをお持ちですので、医師の側がその思いにできる限り応えるべきだと思います。 FUSは薬が効かず、それ以上の選択肢が提示されていなかった患者さんにとって、頭を切らずに手術ができるという画期的な治療法なんです。


  • Qふるえの治療について、現在課題だと思われる点は?

  • A FUS治療は現時点で、まだまだ解決しなければいけない壁がたくさんあります。 頭蓋骨の条件によって治療法が適合しない患者さんもいらっしゃいますし治療に伴う苦痛緩和などもこれから更に改善していきたいです。

    手などがふるえることで、患者さんの日常生活にはかなりの支障が発生します。
    たとえば歯科医が注射するときや、司会者の方がマイクを持ったときに手がふるえてしまうと、職業上の死活問題になりかねません。 軽いふるえだからといって一概に比較すべきではないんです。
    今後、FUS治療がますます発展してより多くの疾患や症状が治療可能になるよう切に願っています。


  • Q日々の治療において、山本先生を突き動かすものは何ですか?

  • A 「困っている患者さんの力になりたい」という思いです。 これは私が医師を志した原点そのものであり、特に意識して行動しているというよりも、診療を行う上で根幹を成す信念として自然と常に心にあるものです。

    基本的に、常に患者さんファーストで考えて診療にあたっています。 当然、患者さんお一人おひとりがそれぞれの背景をお持ちですので、同じ診療や手術を行うときにも常に初心を忘れないようにしています。 事前の準備や確認作業を絶対に怠らない、終始集中力を維持して細心の注意を払いながら治療にあたることなど、当たり前のことをしっかりとやる。 それぞれの患者さんの人生は違いますから、「この方は今までこういう経緯があって、これだけ困っているんだな」ということを自分でも無意識に理解するようにしているんだと思います。


  • Q機能神経外科の医師として、やりがいを感じられる点は?
    今取り組まれている(今後取り組みたい)ことは?

  • A 最初は、(機能神経外科の治療結果が)視覚的にわかりやすいことがただただ衝撃でした。 パーキンソン病の方が手術を受け、運動症状が劇的に改善したという動画を17歳のときに見て感銘を受けたんです。

    身体が動かなくてふるえの症状があった患者さんが、術後に走り回って遊べるようになる。 そんな夢にも思わなかった治療があるのかと。ものすごくインパクトのある体験でした。

    それがきっかけで脳神経外科を志し、平孝臣先生(東京女子医科大学)、アンドレス・ロザーノ先生(トロント大学)というお二人のもとで幸運にも学ばせていただくことができました。 この貴重な経験を何とか世の中に還元して貢献していきたいという思いで、日常診療や手術に加え、学会への参加や論文の発表なども積極的に行っています。

    患者さんは皆、ご自身の症状を何とか良くしたいという思いで一生懸命調べて、勉強してこられます。 患者さんだけではなく、世の中の医師の側にももっとふるえ治療のことを知っていただけるよう、情報発信含め努力を重ねていきたいです。

山本先生、今回はありがとうございました。

ふるえ症状に関してはひとりで悩まず、まず早期に受診をご検討いただくことが緩和に向けての鍵となります。

山本先生が所属する同センターでの治療は原則、保険適用となりますのでお気軽にご相談ください。

湘南藤沢徳洲会病院 機能的神経疾患センターについて

※本記事は2024年12月執筆当時のものです。